熊野以素/著

 

 
著者の思い

社会の高齢化は進む一方で介護保険制度はまだまだ多くの問題点をかかえています。「突然「介護」に直面することになった方、「介護」のまっただ中の方、将来の「介護」を考えておられる方、悩みと不安がつきないと思います。

私は寝た切りの義母の家族介護、アルツハイマーの父の介護を体験し、現在は介護保険を利用して母を介護しています。介護の大変さを知り尽くし、高齢者福祉の市民活動を13年前に始めました。介護保険制度そのものを理解しようと57才にして大学院に進学し介護保険法の研究もしました。このような活動の中で様々な相談を受け、介護保険制度自体が複雑で理解が難しいことや、必要な人の所にさっぱり情報が届いていないことを痛感しました。「もっと介護サービスを利用したら追いつめられることもなかったのに」というケースも見ました。

誰にでも分かる介護保険制度の解説と、建前や役所の都合ではなく利用者の立場でどう介護保険を使いこなすかのノウハウの本が必要だ。そう考えて本屋さんにいってみました。ところが学者さんのかいた難しそうな本や介護職の為の手引き書ばかり。ここは自分で書くしかないというのが私の執筆の動機です。

介護保険と福祉サービスの徹底活用術だけではなく、3人の親の介護生活で手に入れた介護のコツ、利用者が必要と思う多方面の情報も盛り込みました。

一人でも多くのかたがこの本を読んで、「役に立った」「介護が楽になった」と思って頂けることを願っています。


あらすじ

この本は義母、父、母の3人の介護と伯母の最期に立ち会った体験からはじまります。在宅介護と施設介護それぞれの難しさにどのように立ち向かったか。認知症への対応の仕方をいかに学んだか。老老介護の困難さ、高齢者の気持ち、高齢者と家族との関係への理解をどう深めるか。「死に方」の問題・・・。悩み、試行錯誤しつつ辿った道のりをふりかえって、読者の参考にして頂こうとの作者の思いです。

第一編ではまず在宅介護を希望する場合どのような条件があれば可能になるかをのべます。在宅介護をしようという方必読です。介護保険利用が絶対条件ですので、実際の利用例をあげています。次に認知症への理解を呼びかけています。

第二編では介護保険制度と高齢者福祉の仕組みを解説します。
まず介護保険制度の解説です。財政の仕組み、保険料、要介護度区分と使えるサービスの量、地域での相談窓口=地域包括支援センター、介護保険の要の人=ケアマネージャーを解説します(第1章)。

実際に介護保険を利用するためには、「介護が必要だ」と申請し、調査と7段階の要介護度認定を受けなければなりません。調査の実際や認定の仕組みを解説し、きちんと調査して貰い、ふさわしい要介護度がでるようにするためのコツをのべています(第2章)。

要介護度がでればケアプラン(介護サービスの利用計画)をたてることになります。その際の注意事項にご注目下さい(第3章)。

いよいよ介護保険サービス利用契約をむすびます(第4章)。

どんなサービスがあるのでしょうか、具体的に説明しています(第5章)。巻末のサービス利用料表も参考にして下さい。

大切なのはサービスの上手な使い方、サービス利用のコツです。(第6章)施設の選び方ものせています。

Q&Aコーナーでは介護保険へのよくある質問にお答えします(第7章)。

介護保険以外のサービスも積極的に利用しましょう(第8章)。

随所にここをチェックや本音トークがでてきます。建前抜きの利用者サイドの「知恵」です。読み落とさないで下さい。様々な負担軽減策もしっかりチェッです。

第三編は認知症についての解説です。
認知症そのものの説明をまずして、認知症と判断されたらどうしたらよいかの話しにはいります(第1章)。

認知症に適切に対応するために、まず認知症高齢者の状態を理解することが必要です。そのうえで、どのように接したらよいか、対応の原則とその中心となる受容的な話しの聞き方とはどういうことなのかを解説します(第2章)。

最後に見落とされがちですが超高齢になると認知症と似たような状態になることを述べています。
私の実際の体験にもとづいた解説です。ご参考にして下さい。


プロフィール

熊野以素(くまのいそ)

略歴
1944年 福岡市生まれ 
1967年 大阪市立大学法学部法学科卒業
1971年 大阪府立東豊中高校教諭となる。
2000年 大阪府立豊島高校を退職 
大阪市立大学法学部大学院入学 社会保障法学専攻 研究テーマ介護保険制度
2002年 大阪市立大学法学部大学院前期博士課程修了・法学修士 
2006年 豊中市市長選に立候補

著書  修士論文 「介護保険は生存権の保障としての役割を果たしているか」
       −日独介護保険の比較を通して−

賃金と社会保障(旬報社刊)2005年1389号に介護保険制度の日独比較論文を掲載
千里タイムス 2004年春―2005年春 「介護保険の徹底活用術」連載

雑誌「にっち」に「介護保険徹底活用術」連載中 


市民活動
 1994年  高齢者福祉の市民活動を始める
 1996年  豊島高等学校市民講座「寝たきりゼロを目指して・高齢者福祉とボランティア活動」を開講、18年3月まで主宰
 1999年  介護保険とよなか市民会議世話人となり現在に至る
 2005年  高齢社会をよくする女性の会・介護問題研究会座長をつとめる
 この間 大阪府立大学 甲南大学等で高齢者福祉、介護保険制度について講議
 市民グループ、公民館などで講演活動を行う
 2005年 九条の会・豊中いちばん星結成に参加

現在要介護5の実母を在宅で介護